2008年10月12日日曜日

激戦地へ

先日、ヴォルゴグラード、ロストフ、クラスノダールというロシアの南部に位置する都市に行ってきました。地図上で丸く囲んだ辺り。
もちろん初めての訪問でしたが、モスクワとは違ったロシアを見ることができて非常に良かったね。

この3都市、いずれもそれなりに大きな都市でヴォルゴグラードとロストフは人口100万人を超えてます。モスクワと比べるとお話しにならないけど、どこも町の中心部は賑わっていて、田舎町という感じは全然しない。特にロストフは町の繁華街が広範囲に広がっている印象で都会の雰囲気すらあった。東京で言えば吉祥寺クラスかな。東京のように高い建物はどこにもないけど。

移動はまずモスクワから飛行機でヴォルゴグラードに入り(1.5時間)、そこからロストフとクラスノダールには陸路で移動(6時間、3時間)。5日間かけたのでそれ程大急ぎというわけではなかったけど、体力的にはやっぱり結構疲れたよね。

ただ、車での長時間の移動は疲れる半面ある意味新鮮でもあった。
ヴォルゴグラード~ロストフ間の道路はかなりバンピーで、コーカサスあるいは中近東を思われる雰囲気もあって、ロシアっぽくないなと。ロストフとクラスノダール周辺は農業の盛んなエリアなので、町中に入っていくまでは見渡す限りの農地の中を走っていくんです。
ロシアって広いなぁって思える部分かなと。

そんな中、今回は唯一時間の余裕があったヴォルゴグラードの話をちょっと。
まず、笑ったのが、空港。
100万都市とはとても思えない、かなりしょぼしょぼの空港です。
滑走路からバスでターミナルビルに移動する時、乗っていたバスが突然の故障で発進できず。
ここまでよく来れたなこのバス。
ターミナルって言っても田舎の廃校みたいな薄暗くて今にも崩壊しそうな建物。

しかも到着後通されたBaggage Claimはターミナルとの横に設けられた単なる掘立小屋(写真の黄色のやつ)。嵐が来たら一発で吹っ飛んでしまいそうなレベル。
そして、そのBaggage Claimのエリアでベルトが回り出すのを待っていた時のこと。
「はい、そこ危ないよー。ちょっとどいてちょうだい。」というおやじの声と共に、荷台一杯に荷物を乗せたキャリアーが直接このエリアに進入してきて「はい、ここから直接荷物取って。」だって。
写真はみんなでキャリアーに殺到して自分の荷物を確保するの図。
ロシアの地方都市ってまだまだこんなもんなんだな、と。。。

ヴォルゴグラードのヴォルゴはヴォルガ川、グラードは町を意味しています。
ヴォルガ川はモスクワとサンクトペテルブルクの中間のヴァルダイ丘陵を水源とし、数々の都市を通過してカスピ海まで流れ込む全長3,690kmの河川で、「ロシアの母なる川」と言われています。
その名の通りヴォルゴグラードの町からヴォルガ川を望むことができ、川を横に見ながら細長い公園を散歩することができます。
しばらくそこを歩いて行くと、とある博物館にぶつかります。

ご存じの方もいるでしょうが、このヴォルゴグラードはもともとスターリングラードという名前で第二次大戦時、ドイツと半年以上の攻防戦を繰り広げた激戦地です。
その独ソ戦に関する資料や実際に使用された兵器などを集めた博物館がそれです。
博物館の横にはぼろぼろになった風車(?)があり、現在でも当時の姿のまま保存されています。

もう一つ、ヴォルゴグラードで行くべきポイントはママエフの丘。
そこにある「母なる祖国像」はロシアでも非常に有名なもの。
終戦20周年記念として建てられもので、全長85メートル(剣の先から)、重量88トンという巨大な像。麓まで行って見上げると、かなりの迫力がある。
もう夕暮れだったんで、写真はうまく撮れませんでしたが、昼間だと下のような感じ。
スターリングラードの戦いは史上最大の市街戦であり、この丘も当然その舞台。
激しいバトルゆえ冬になっても積雪しなかったと言います。
この戦いでの死者はドイツ軍30万人、ソ連軍50万人とされ、さらに戦前60万人であった町の住民が終結時には1,500人まで激減していたというから壮絶すぎる。。。

しかし、なぜスターリングラードでこれ程大規模な戦いが起きたのか。
スターリングラードとはその名の通り、スターリンの町。
ヒトラーは天敵であるスターリンの名を冠したこの町を何としても制圧することに固執したと言われています。ここを叩けば実質的なロシア軍の弱体化というだけでなく精神的にも大きなダメージを与えられると思ったのかもしれないね。
しかし結局この戦いに敗れたドイツ。これは彼らがかつて経験したことのない大敗北であり、第二次大戦の一つの大きなターニングポイントになったわけです。
興味が出た人は映画でも本でもチェックしてみて。

現在のヴォルゴグラードは・・・
いたって平和です。
公園で仲良くデートするカップル達がとても印象的でした。 (いいなぁ)

グルジアと戦争始めて、最近は国際社会で強気な発言の多いロシアだけど、もうちょっと大人な対応をお願いしますって感じだよね。アメリカもアメリカだけど、もうちょっと協調できないのかな。無理かぁ。。。

<ノー・モア・スターリングラード>

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今回は為になるブログだね。世界史で受験したあっしとしては、そういう観点で旅行するのも面白いかもって思ったよ。

匿名 さんのコメント...

出張ででかけるんですか?
普通じゃわからないロシアですね。
今回のブログは、社会派な話題で勉強になりました・・。

シモニフ さんのコメント...

出張かどうかはあえてのノーコメント。
その辺、酌んでちょ。

おやす、最近登場率高いなー。
さすが、チームT。
痛風だいじょぶ?

匿名 さんのコメント...

この写真よくみたら、人がミクロ。

高層ビルをみあげるかのような像で迫力がありますね。