2008年4月2日水曜日

大黒屋光太夫と壹岐正

日露関係の話をちょっと。
1792年 ラクスマン根室来航
1804年 レザノフ長崎来航
1853年 プチャーチン長崎来航
1855年 日露和親条約
1858年 日露修好通商条約
この以前からロシアがちょくちょく蝦夷地に来ていたり、ゴローニン事件というのもあるけど、初期の日露関係としては大体こんなもんのようです。当時日本は鎖国してたから、ずっと外国との友好・通商は全て断り続けまくり。でも、産業革命が始まったイギリスは原料や市場を求めてアジアを目指し、ロシアも極東地区から激近の日本に目が行かないはずはないし、いろんな国が開港を迫っていた時代。ペリーがやってきて武力にものを言わせて日本を開国させた日米和親条約、これが結ばれると日本は一気にロシアを含めた国々と条約締結を行ったから、実質的な日露関係もここから始まったということになるんでしょうね。不平等条約だったけど。
で、しょっぱなに書いたロシア使節ラクスマン。この人が日本にやって来た時、ある日本人も一緒に来日したと言います。昔の日本史の授業ででてきたな、というかすかな記憶だけが残る、大黒屋光太夫なる人物です。
彼は1751年に伊勢の鈴鹿に生まれた回船の船頭。1783年、米などを江戸に運ぶ途中嵐で回船が難破、7ヶ月間の漂流を経てアリューシャン列島のアムチトカ島に漂着。ここでなんと4年間を過ごしたそうだ。その後、カムチャッカやオホーツクなどを経由して1789年イルクーツクに到着。ここでラクスマンと出会う。ラクスマンは帰国を熱望していた光太夫を伴い首都ペテルブルクを訪れ女王エカテリーナ2世に謁見。ラクスマンは光太夫の帰国願いと日露間での通商関係を開くための公式使節の派遣について建議した。帰国を許された光太夫は漂流から約10年を経てようやく帰国することができたというわけ。
よく生きていられたなと思うよね。さぞかし苦労したんだろうけど、ここまでいっちゃうとちょっと想像を超えてどんなもんかよくわかんないよね。そして、この光太夫から直接ロシアの情報を聞き取り、蘭学者・桂川甫周は『北槎聞略』を編纂したんだけど、当時の様子を知る重要な資料になっているとのことで、ネットで本を買ってみたものの昔の言葉のままで読むのに5万年くらいかかりそうだからもうやめました。この地図だけ頂ければ充分っす。
ロシア特にシベリア地区を中心に約10年もの長い間住まわされていたというこの話で、なんとなく山崎豊子の『不毛地帯』を思い出してしまうシモニフ。陸軍中佐、大本営陸海軍参謀、関東軍参謀のエリート軍人で敗戦後11年間のシベリア抑留を経た後、商社マンとして数々の商戦で活躍するという主人公・壹岐正の激しい人生が描かれている。有名だから既に読んだ人もいるでしょうが、壹岐正は元伊藤忠商事会長の瀬島龍三氏を題材にしているといわれていてそれを思うとなおさら真実味があってとてもおもしろい。どこをとっても興味深い内容で非常にいいんだけど、抑留時の話が特に印象深いという人も多いんじゃないかな。これを読むとロシアにあまりいい印象を持たないという人もいるかもしれないけど、個人的にはそんなことはなくてロシアの非道さとか抑留の悲惨な実態よりも、当時の世の中全体の様子だとか主人公の考え方なんかがおもしろくてそっちの印象が強いかな。
この小説、全4巻だけど、実はシモニフはまだ2巻の途中(”スエズ運河”あたり)までしか読んでなくて、でもこの先もきっと魅力的な展開が起こるんだろうと期待してます。
そして、この不毛地帯、実は昔テレビドラマ化、映画化されてるんだ。テレビの方は多分もう見ることはできないけど、映画は今でも販売してるから見られます。内容は2巻の途中までになっているようだから、シモニフも見れる状態にあります。テレビや映画は大体の場合小説よりも内容が薄くなってつまらないもんだけど、もし興味があればみなさんも是非どうぞ。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

どーもバカ師範代です

いやー、不毛地帯マジおもしろいよねー。
面白い本ベスト5に入るかも。沈まぬ太陽も入るけど。(ってただの山崎豊子好きなんだけど)
あれ大好きでさー、本当に読み出すと止まらない。壱岐正は常に一本筋が通っていて、強靭な精神力持ってるよね。

早く全部読むように。

匿名 さんのコメント...

バーコさんと39さんの正体がわかっちゃったフラガールなあひるちゃんです♪

不毛地帯・・・マイファザーのバイブルっす。
号泣注意本なので電車じゃ読めないですよね?
沈まぬ太陽で山崎豊子ワールドにどっぷりハマりしばらく現実に戻れなかった経験あり。
でも、シモニフと競争で読み始めようかな☆

こないだ、カラオケで森高の「17歳」歌いましたが、何か。

親善大使☆ジャパンツアー頑張ってね!

匿名 さんのコメント...

スナだよん。今日本かしら?
ブログ全部読ませてもらってるよ!シモニフの知識の幅広さに毛ごと脱帽、つるっぱげです。

ところで、ちょっと古い本なんだけど、最近「ネアンデルタール人」という本を読んだよね。作者はジョンダートン(アメリカ人)。
タイトルそのまま、ネアンデルタール人が今も生息している!という仮定に基づくお話なんだけど、最初は眉唾で読んでいのに、いくつもの学術文献が引用されるものだから、読み終えたあと本当に彼らが生きているのかと思っちゃうんだわ。
んで、お話によると彼らの生息地がコーカサスの山奥らしいのね。んでんで、人間と出くわすと、容赦なく頭をかちわって、脳みそをチューチュー吸いだすらしいんだ。こわいよね!?こわいよね!?

「不毛地帯」を読み終えたあとは、「ネアンデルタール人」を!! 

シモニフにはぜひとも、ネアンデルタール人に襲われる恐怖を日常でリアルに味わってもらいたいものです。

シモニフ さんのコメント...

すなっちWelcome!
今後コーカサス行くこともあるから、その時はネアンデルタール人の正体を明らかにして来てやるぜ。しかしなんでその本読むことになったのよ。仕事系?
不毛地帯、3巻突入。New York~♪

匿名 さんのコメント...

最近ちょうど鬼平犯科帳を全巻読み終わって次に読む文庫本を探していたところなので、早速追従してみました。
春ボケした頭を、シベリアの凍てつく寒さが目覚めさせてくれます♪読み応えがあってイイですね。楽しんでます。
山崎豊子には、いつ、どこから手をつけようか迷ってましたが不毛地帯はノーマークでした。シモニフさんナイス。