2009年3月29日日曜日

昼ビール

早いもので気がつけばモスクワ生活が1年を経過。

日本人の知り合いも増えてきて、テニス(インドア)は行ける限り週1回やっているし、最近は飲み会にもちょくちょく顔を出してます。
ロシア人の知人はさっぱりできないけどね。

先週末は日本人20名程でロシアのビールメーカー・オチャコボ社の工場見学に行ってきました。
正確に言うとビールだけではなく、ライ麦や麦芽を原料とするロシアの伝統的なジュースであるクワスやワイン、ウォッカなども生産しているメーカーです。
オチャコボのビールの市場シェアは4%で、クワスのシェアは48%なので、クワスメーカーとしてむしろ有名です。

ちなみにロシアのビール消費量は中国・アメリカに次いで世界第3位。1人当たりも同じく3位。
注目は、ここ数年の消費の伸びが激しいこと。
キリンとアサヒはロシアのメーカーと組んで現地生産しているし、ロシアはボリュームが大きく販売増を見込める有望市場の一つ。
若者の健康志向もありウォッカ離れが進んでいると言われているので、その影響でビールの消費も伸びているのでしょう。

でも、ロシア人はみんな酒に強いからビールなんて水みたいなもん。
ビールで気持ち良く酔える民族では絶対にない、と個人的には断言したいです。
一緒のペースでつきあってたら死亡です。(笑)

工場見学当日、我々はお昼に地下鉄の駅に集合し、見学ツアー専用のバスに乗っていざ工場へ。

ガイドのおばちゃんがビールの各製造工程や会社の歴史など色々な説明をしてくれて、それを日本人の方が訳してくれるという流れ。
そうそう、写真のように途中から白衣みたいな服を着させられたんだよね。

驚いたのは工場内で写真撮影が許可されていること。
普通、禁止でしょ。
先日行ったアルメニアのコニャック工場は写真不可だったし(撮ったけど)。
大した技術もないから、隠すことなんてないのかな。

ペットボトル製造工程やタンクがたくさん並んだビール製造工程など見学して1時間弱。
残念ながらボトリング工程を見学できませんでしたが、全体的には良くオーガナイズされたツアーだったと思います。
予想以上に工場内もきれいだったし、おばちゃんの説明も良かった。(通訳が良かったのかな)
ロシア語で自分が説明した後、日本語の通訳中になぜか「うんうん」とうなずくおばちゃんが笑えました。お前意味わかってないだろ。(笑)

このツアーの目玉はなんと言っても見学終了後のビールの試飲(飲み放題)です。

日曜の昼1時過ぎから参加者全員でひたすらビールをあおる。
5種類のビールが試飲可能だったものの、時間が30分程しかなかったので、3種類しか飲めず。でも、すごく楽しかった。
次はなんの工場見学行く?って盛り上がってました。

その後、ほろ酔い気分の我々は当然のように2次会に向かい、さすがに今日はそれまでかと思いきや、5人に減った3次会まで付き合わされて夜10時に帰宅。

資料作り、またできず・・・

2009年3月28日土曜日

激近スキー

先日、突如内輪で盛り上がりスキーに行ってきました。

モスクワ周辺にはスキー場があるにはあるが、コースは悪いし、車で数時間かけて行かねばならないし、と聞いていたので、一度やってみたい気持ちがありながらも、これまでは敬遠してました。

スキーはスキーでもクロスカントリーの方がこちらでは一般的でモスクワ市内の公園や広場でやっている人を見かけることもあります。

ところが、知人を通して調べたところ、近場にもスキー場が存在することがわかったので、まずは「モスクワでスキーやったぞ」というネタ作りとして行ってみようぜ、となったわけです。

近場ってどのくらい近場かというと、なんと車で30分という激近のロケーションなのです。

しかも、ほとんど通勤路と一緒。
もっと早く言ってよ。(笑)

ロシア語を全く話せない3人で行ったので、スキー場に行ったは良いがスキーをできずに帰ってきた、という事態を懸念してました。
なんとかして英語をできるスタッフをつかまえたり、メモ帳に数字を書いたりして、リフト券(8回分をチョイス)とレンタルスキーをゲット。
値段も1,000ルーブル強(≒3,000円)とお手頃です。

肝心のコースはと言うと、決して良いものではありません。
日本のスキー場と比べてしまったら、相当小さくてシャビー。
山と言うより丘でスキーをするような感じだから。
これは今回のスキー場だけではなく、モスクワ周辺のスキー場であればほとんど変わらないレベルなのだと思います。

でも、初心者に近いシモニフ的にはこのくらいでもOK。
充分楽しめました。
行った日が国際婦人デー(女性の日)だった為か、人も少なくて滑りやすかったしね。

今回はスキーにトライしました。
雪山に行くのは3,4年ぶりかなぁ。
その時はスノボだったので、スキーは何年ぶりだか思い出せないくらい久し振り。
若い人達はやっぱりスノボをする傾向が強いようだったけど、日本ほど極端ではなくて、スキー・スノボ比率は全体的に半々くらいかな。

日本との大きな違いはリフト。
単なるT字のバーなんです。
写真ではちょっとわかりづらいけど、バーをお尻の後ろに引っかけたり、股で挟んだりして、スキー・スノボは地面につけたまま引きずって上まで登っていきます。
日本でもこのタイプが存在するそうだけど、シモニフ的には初体験。
扱いこなすのがすごく難しくて最後まで慣れなかったね。
一緒に行った人は何度も転倒してた程だから。

モスクワスキー、上級者にとっては物足りないこと間違いないです。
でも、この素晴らしいアクセスは来シーズンちょくちょく遊びに行こうと思わせるに充分。

冬の過ごし方、一つやることが増えたな。

2009年3月16日月曜日

コニャックに願いを

アルメニア旅行では、おいしいフルーツジュース、ワイン、コニャックを堪能したい。

これが最大の目的だったので、夜は色々買い込んでホテルの部屋でみんなで宴会。

一番良かったのは100%のザクロジュース。
めちゃくちゃ美味かった。
1リットル300円で買えるという安さにも感動。
ザクロはアルメニアのシンボルだ、と地元の人が言う程アルメニアではメジャー。
ロシアで同じジュースを買えば3倍するんです。
日本だともっと高いんじゃないかな。

アルメニアのワインはグルジアと同じくスウィート系の方が高価みたい。
アルメンさんにおごってもらったワインは凄くイケて、グイグイ飲み過ぎて危なかったよ。
スーパーでザクロワイン(上の写真の右)というのを発見したので、それを買って飲んでみたものの、これはいまひとつ。普通のワインがいいです。

旅の最終日はコニャックの日でした。
アララトという有名なコニャックのブランドがあるのだけど、その工場見学ツアーに参加したんです。
たくさんの樽が並んだ見学コースを歩きながら、作り方やアララトブランドの逸話などの説明を受けました。
ツアーの最後に3種類のコニャックを試飲する機会があり、3年・10年・20年もののコニャックを少しずつ堪能。
ニャック慣れしていないので、3年ものが一番マイルドで飲みやすかったね。
アララトのブランデーグラスは写真の様に横に寝かせても液体がこぼれず安定した状態を保つことができるんです。もちろん量が多ければこぼれるけど。

コニャックというのは、「フランスのコニャック周辺で生産されるブランデー」を意味するのが一般的のようで、そういう意味ではこのアララトはコニャックではなくブランデーと呼ばれるべきなのかも。
ロシアではコニャックがブランデー全てを指す単語となっているので、フランスはロシアにブランデーを用いるよう求めているんだとか。

見学コースの途中にいくつかの国旗とそれに囲まれた一つの樽が。
これはナゴルノ・カラバフ問題が解決された時に初めて日の目を見る予定のコニャックなのだそうです。
ナゴルノ・カラバフとは、アゼルバイジャンの山岳地帯に位置する自治州。住民の大半を占めるアルメニア人が自治州のアルメニアへの帰属を主張し、アゼルバイジャン人との民族紛争が勃発。現在アルメニア人の占領下にありますが、今も未解決の民族問題で、アルメニア外交上の最大の課題とされています。

国旗の一つがアゼルバイジャンのものですが、ここはアルメニアにおいてアゼルバイジャンの国旗が掲げられている唯一の場所なのだそうです。
樽や周りの壁には平和へのメッセージが所狭しと書かれていました。

アララトという名前はもちろんあのノアの箱舟で有名なアララト山から名付けられたものだけど、天気が良かったこの日は工場の出入口付近からアララト山を一望することができました
写真では少しわかりづらいけど、すごくきれいで存在感のある山。

このアララト山、古くからアルメニア人が住んでいた地域の中心であり、アルメニア民族のシンボルとされるものの、ここは現在トルコ領となっています。アルメニアはこの国境を承認しておらず、トルコとの間にあるアルメニア人虐殺問題という非常にタッチーな問題とあいまって両国は対立を続けています。

とにかく、このアララト山はアルメニア人の誇りとして今も民族の中心に存在しているのは間違いありません。

現地の人達とアゼルバイジャンやトルコの話をすることはありませんでしたが、アルメニア人の民族性を肌で感じ、少しは理解を深めた身としては、それぞれの問題が平和的に解決されることを願わざるをえません。

2009年3月8日日曜日

アルメニアのアルメンさん

先日、ロシアの3連休を利用してお友達と4人でアルメニア旅行に行ってきました。

アルメニア、、、どこそれ。何があんの?
ですよね。

アルメニア共和国はコーカサス地方に位置する人口300万人の小さな国。

まずアルメニアで思い浮かぶのは、ノアの箱舟が辿り着いたと言われてるアララト山。
標高5,137mの大きな山でどことなく形が富士山に似ているので、我々としてはすごく親しみを感じる山。

また、アルメニアは世界で初めてキリスト教を国教としたことで有名。
アルメニア正教会の総本山であるエチミアジンは世界遺産で一番の観光名所かも。

主要な産業は、農業・宝石加工。
綿、ぶどう、野菜の栽培が盛んで、ワインやコニャックは有名。
でも、現地の人に主要な産業は何かと尋ねたら「何もありません」て言われた。。。

とりあえず、個人的には、おいしいフルーツジュース、赤ワイン、コニャックを味わうこと、アララト山を拝むことが今回の旅行の目的でした。

ところで、
わたくしの会社の同僚にアルメニア人のおばちゃんがいるのだけど、何も言わずに行くのもなんなので、出発前日に「明日からアルメニア行くんだぁ。」と伝えたんです。

今思えば、これがアルメニアでの全ての行動を決めた瞬間でした。

そのおばちゃん「もっと早く言ってくれれば色々アレンジできたんですけどねぇ。」と言いながらも、なにやらロシア語じゃない言葉で電話で話を始めたから、どうやらアルメニアに電話をしている様子。当然こっちは何もお願いするつもりはないし、ただ行ってくることを伝えたかっただけ。

そしたら数分後、
「シモニフさん、空港からホテルまでの送迎アレンジしましたから。えー、それから、次の日の観光、こことこことここ、まわれるように言っておきましたから。私の弟アルメンが全部やりますんで。ほんと大丈夫ですから。全っ然、問題ないですから。」

おいおいおいおい、そういうつもり全く無いんだけどなぁ。
そこまでしてもらっちゃうと逆に申し訳ないっていうか、ちょっと困るわ。
そんでもって、弟の名前もアルメンて。。。(笑)

ま、本当にアルメンさんに観光までお願いするかどうかは、実際に現地で話をして決めればいいか、と思ってその同僚にはサンキューと伝えて、いざアルメニアに向かうことにしました。

次の日、飛行機でアルメニアの首都エレバンに到着しゲートを抜ける際、シモニフの名前が書かれたボードを持つ男を発見。

アルメン登場。

しかも、その周りには彼のお友達含め合計4人も出迎えに来てるよ。。。
なんなんすか、この厚遇は。

車2台(セダン)でホテルまで直行。
一休みした後、エレバンの町の中心を歩いて案内してくれました。

空港からエレバン中心までの町並みは10年前のロシアの田舎町といった感じで結構寂れていたのだけど、中心地までくると人通りも多くてきれいな感じに。
アルメニアで採れるきれいなピンクの石を使った建物が印象的。
でも、ロシアの地方都市の域を出ない程度のもので、首都がこのレベルということはあまり国力のない、非常に小さな国なのだなと思いました。

でも、居心地はなぜがすごく良い。
ロシア人よりも笑顔をたくさん見せてくれたから。
あとは、アルメンさん達がすごく親切に案内してくれたからかな。

夕食は自分達で食べようと思っていたのだけど、当然誘われるわけさ。
「自分達だけで食べますよ。ディナーまで付き合ってもらうもの悪いから。」
と言っても、全然ダメ。
「折角わざわざアルメニアまで来てくれたのだから、我々がおもてなししないわけにいかないよ。一緒に食べましょう。さ、入ろう入ろう。」
みたいな感じで断りきれず、贅沢な料理を山ほど食べて、ワインやウォッカをガブ飲みしたわけです。
結局、お金も払わせてくれなくてさ。
ほんと申し訳ないくらいに接待してくれちゃって弱った。
会社の同僚の身内だからね。

次の日は丸一日観光予定で、行きたいところをみんなで相談した結果、彼らが案内しようとしている場所と重なっていたから、これまた断れず彼らのお世話になることを伝えて初日終了。

次の日、ホテルのロビーで彼らと落ち合って車に向かっていた時、眼の前に現れたのが、なんと10人乗りくらいのバン。
おれらの為にわざわざレンタルだよ。

さらに、
グッード モーニン♪
という美声が背後から。

なんと、英語を話す美人ガイド登場。

おーーーい、
そりゃーちとやり過ぎちゃうかぁぁぁ。

ほんとに彼らのホスピタリティーには頭が下がる。
アレンジのみならず、観光中もこちらが楽しめるように解説を加えてくれたり買い物に付き合ってくれたりと、常にケアしてくれる温かい気遣いがある点、恐縮してしまう程だったけれど、本当にありがたいものでした。

もしかしたら、同僚のおばちゃんからアルメン軍団に対して、シモニフ歓待指令があったのかもしれない。
でも、それにしてもそこまでやらなくても、っていう程のVIP待遇。
客をもてなすマインドが根本的になければ難しいと思うね。
我々の中では、アルメニア人はサービスの民族だという結論に至りました。

世界遺産・ガルニ神殿で遠くを見つめるアルメニアのアルメンさん。

ありがとう。