2011年3月24日木曜日

悲しみを超えて

日本の大変な状況をテレビやインターネットを通じて確認しては胸を締め付けられる思いでこみあげるものがある。
実際に地震を経験しておらず、日本にさえおらず、現場の切迫した状況など雰囲気をつかめない立場としては、どこか申し訳ないとすら思ってしまう。
外地での生活はそれはそれで常にリスクを伴うが、今回の母国での悲劇はそれを超えている。
幸い自分の親族、友人では最悪の事態を免れているが、そういうことではなく日本国民として痛烈に感じている精神的ダメージの大きさは自分自身これまでに経験したことがないくらいのものだ。

明るいニュースというと、日本での報道にもあるように、震災直後の日本国民の行動・精神が海外から称賛されていること。
先週こちらに駐在されているNHKの方に伺ったところ、ロシアでも同様の報道がなされているそうだ。以前も触れた通り、海外生活をしていると自分の日本人としてのアイデンティティーを自然と意識するもので、日本ではなかなか抱くことのない愛国心も強くなる。
CNNやBBCという海外の主要メディアでそうした報道を見ると、戦後最大と言われる災害でも強く生きる自国民を誇りに感じ、またも目頭が熱くなる。

震災直後からこちらでは多くのロシア人から励ましの言葉をもらっています。
ロシア人というのは、無表情で笑わず一見すると冷酷に思えるものの、家族や仲間に対してはとてもウェットな民族。受け取るメッセージは非常に有り難いものばかりだ。
ご存じの通り、ロシアはソ連時代にあのチェルノブイリを経験しています。
ソ連政府は事件発生を隠し、異常な放射能の発生にスウェーデンの原発が気付いたことで、やむなく事実を公表したというのは有名な話。住民の避難措置も遅れた為被害が拡大し、多くの人々が被曝。爆発の後処理の為軍人などの清掃員が送られるも、危険性を全く知らされていなかったと言います。
福島の原発についてはチェルノブイリの二の舞になりかねないという心配な声も当然あり、ロシアの特に極東地区では大きな反応があるようです。放射能量の計測を頻繁に行っていることや、ヨウ素を含む薬剤や赤ワイン・ワカメなどの食材の売り上げが急増していることなどの変化が見られる様子。ロシア政府は当然と言えば当然かもしれないが、日本からロシアに入国する人、貨物、船などに放射能検査を開始している。一方で、救助隊の派遣、液化天然ガスの供給増加、大手銀行やロシア正教会からの募金などの支援も表明してくれている。

いま日本では、政府批判、東電への不満、物資不足、色々あるようです。
状況が当初の予想以上に悪いとわかると最近では盗難や治安悪化が懸念される事態にもなっているとのこと。
生きるか死ぬかという状況だけに、ぼくは誰も責められないような気がしてしまう。
余震や原発の不安は今もくすぶっており、経済では株価の下落や円高が日本だけでなく世界を揺さぶり影響は地球規模に及んでいる。
甚大な被害に見舞われ精神的にも深く傷ついてしまった日本。
復興にはかなりの時間を要するだろうが、新たな日本を作るべく前向きに考えるしかないのだと思う。国民が一つになりこれまで以上に強く誇るべき新国家を創造する為にゼロからスタートできる良い機会だと捉えたい。

3年前に日本を発つ時、友人から日本国旗をもらったのを思い出して、たんすの奥から引っ張り出してきた。
しばらく家に掲げようと思う。

4 件のコメント:

TOKO さんのコメント...

わかる。わかるよー。いや、ほんとに。そう思ってた。

シモニフ さんのコメント...

最近は常に無力感。でも前を向いて行こうと自分を鼓舞している。マリリンのご家族も無事でほんとに良かった。

スナフキン さんのコメント...

都心部は落ち着いてきて通常の暮らしがもどってきているかな?っといったところです。

原発問題も引き続き気になる問題だけど、被災している東北のことを忘れてはいけないし、みんなで支えてこれから先も支援していくことが大切だなと感じることが多いです。

シモニフ さんのコメント...

被災者の方にとってはこの大変さは言葉で表現できないくらいのものだと思う。前を向いて歩きだそうにも難しい状況もあるはず。
彼らから笑顔を取り戻す何かをしたい。
カズのゴール、素晴らしいよ。
泣けたよ。